ICST2017に参加してきました

こんにちは、ノハナで品質管理を担当している田井です。

はじめに
2017年3月14日から3月16日まで早稲田大学・西早稲田キャンパスで行われた「ICST2017」に参加してきました。
ICSTは「International Conference on Software Testing, Verification and Validation」の略で、IEEEというアメリカに本部を持つ電気工学と電子工学技術の学会が主催しています。
今年で節目の10回目となりますが、今までは北米とヨーロッパで開催されており、北米、ヨーロッパ以外で初めて開催される場所として東京が選ばれました。

今年は世界各国から370名以上が参加しました。
本会議のメインは事前に応募された中から採択された研究論文、実践論文が30分の持ち時間で発表されるセッションです。発表は英語で行われるので英語力は必要ですが、一部は日本語への同時通訳が行われていました。

特徴
このICSTはソフトウェア品質管理関連のシンポジウムであるJaSSTと比較して、アカデミックな発表が多いところが特徴です。大学関係者や学生も多く参加しています。
論文発表以外に、基調講演、討論会やテストツールのデモ、ポスターの展示などもあります。
ウェルカムレセプションやバンケット、コーヒーブレイクなどもあり、参加者の交流を図るイベントが多いのも特徴でしょうか。バンケットは池袋にあるサンシャイン60の展望レストランで行われ、280名以上が参加しました。
バンケットでは忍者ショーもあり、特に海外からの参加者に大好評でした。

目的
今回参加した目的として、日々の品質管理業務に活かせるものがあるのではないかということでした。その中で実際に取り入れてみようと思ったのが、BARISTAです。

BARISTAはAndroidアプリ向けのテストケース生成ツールで、Playストアからもダウンロードできます。
生成したテストケースはエスプレッソなどのツールで、自動的に実行できます。
今までは手動で行っていた回帰テスト(変更を加えたことにより、アプリの機能に影響が出ていないことを確認するテスト)も、これを使い自動化することにより、工数削減と開発期間の短縮を達成できると考えています。
「TESTDROID RECORDER」や「ESPRESSO TEST RECORDER」などテストケース生成ツールはいくつもありますが、BARISTAが優れている点は以下のようなところです。

  • インストールが簡単
  • スマホの画面上でボタンや操作を指定することで自動でテストケースを生成
  • 異なるメーカーの端末間での互換性が高い

インストールが簡単
GooglePlayから通常のアプリをインストールする手順で完了します。

スマホの画面上で簡単に自動でテストケースを生成
コードを書く必要はなく、BARISTAを起動し、操作を記憶するアプリを選択するだけで、スマホの画面上でボタン等を指定し、それに対する操作を指定することができます。
その後、サーバーにデータを送ると、メールでコードが送られてくる仕組みです。

異なるメーカーの端末間での互換性が高い
端末メーカーの細かい仕様によりテスト自動化ツールは実行時に制限を受けてしまうことが多いのですが、BARISTAは検証対象の7端末において、99.2%のテストケースを実施できたということです。 比較としてTESTDROID RECORDERは68.3%、ESPRESSO TEST RECORDERは36.3%という実施率だということでした。日本向けの端末ではどうかというとデータは少ないと思いますので、実際に試してみて確認できればと思います。

最後に
ICSTはアカデミック寄りのカンファレンスですが、実務でも活用できる発表がいくつもありました。BARISTAについては実際に導入を検討してみて、結果を後日ご報告したいと思います。
来年はスウェーデンで行われ、再来年は中国で開催される予定です。なかなか参加できないイベントですので、今回は貴重な体験をすることができました。